100円紙幣から100円硬貨へ
日本の物価は、昔と今では大きく違います。1940年代だと、大卒の平均月収が75円、日雇い労働者だと1日あたり2円程度でした。
今と違って、昔の1円の価値はとてつもなく高かったのです。まして100円ともなると一般の人はなかなか目にする事のない大金で、当時発行されていた百円紙幣を使うどころか、手にする機会もほとんどありませんでした。
しかし戦後、1950年代になると紙幣価値が大きく下がり、物価が上昇します。大卒初任給も1万円を超え、人々は100円で買い物をする機会も増えていきました。
そして1957年12月11日に日本政府から百円銀貨が発行されました。
ただ、最初は現在のような一般に流通する硬貨ではなく、記念硬貨として発行されたものでした。やがて物価価値がさらに上がっていき、庶民にも百円玉が行き渡るようになると、自動販売機が街中に設置されるようになり、それと共に百円硬貨の需要はさらに大きく伸びたと言われております。
まだ100円札も銀行やお店では併用して使えましたが、1974年に支払いとして使用されるのが停止されました。
因みに、硬貨の素材が銀から現在の白銅に変わったのは1967年です。これは世界的に銀の需要が高まり、金属としての価値が高騰して安定した供給を行えない為でした。
因みに、券売機や自動販売機では弾かれてしまいますが、現在でも100円銀貨を銀行などで使用することは出来ます。ただ、貨幣価値よりも高いために一般で流通しているところを見る事はまずありません。
発行数が少ない年度の百円があるらしい
平成13年度に発行の百円玉は年間を通して802万4,000枚と非常に少ないため、新品未使用の場合は百円以上の価値になる可能性があります。
既に使われている場合でも、ギザ十(側面にギザギザの入った古い十円玉)みたいにレアな硬貨なので、探して見ると面白いかもしれません。
また、プルーフ加工と呼ばれる硬貨の盤面を鏡面仕上げに加工した記念硬貨も発行されており、その場合は年度に関係なく保存状態によっては額面以上の金額になる可能性があります。
特に発行数の少ない平成13年のプルーフ加工の百円は買取価格が1000円を超えるようなので、持っている人はちょっとした自慢になりますね。
100円は何故50年以上もデザインは変わらない?
1967年(昭和42年)から現在に至るまで、100円玉は一度もデザインや素材を変えていません。これは他の少額の硬貨にも言える事ですが、硬貨を偽造する旨味が無いからです。
逆に言えば、定期的に新デザインで発行されるお札や500円玉は、印刷技術がより精巧になってくると偽造される恐れもあるため、最新の技術を使って偽造防止施策を取られる事になっています。
また、硬貨はサイズや重さが変わると券売機や自動販売機も作り直さないといけないため、影響が大きいのです。
そのため、今後も当面は100円玉のデザインが変更されたり、発行停止するような事はありません。
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