日本一売れた曲はテレビ番組から誕生した
フジテレビの子供向け人気番組「ひらけ!ポンキッキ」内でとある曲が流れます。
歌い出しから語られるたいやきの苦悩と、それに嫌気が差して広い海へと旅立つというユニークな展開。哀愁漂う童謡なのに、どこか大人でも思う事がありそうな内容に、放送後には問合せが殺到。
あまりの人気ぶりに、予約だけで30万枚以上と言われています。
そして1975年12月25日、「およげ!たいやきくん」のレコードが発売されました。
500万枚以上売れた
翌年1月にはミリオンセラーを達成。それでもレコードの生産が追いつかず、予約待ち状態がしばらく続きます。
オリコンのシングルチャートは初登場で1位を取り、その後はなんと11週連続1位となり、 異例の超ロングヒットが続きました。
その結果、オリコンの売り上げ記録だけで450万枚。個人経営のCDショップなど、オリコンの記録に含まれていないものも合わせると500万枚とも言われています。
これは日本の音楽シーンにおいては誰も成し遂げていない偉業で、日本一売れたレコードとしてギネス記録にもなっています。
「およげたいやきくん」は何故そんなに売れたのか
「ひらけ!ポンキッキ」自体は子供向け番組として当時から人気でしたが、有名なアーティストでもなく、話題のドラマ主題歌でもないのに異例の大ヒットとなった同楽曲には、何故これだけ売れたのかという考察がよくおこなわれます。
たい焼きが主人公なのに、「毎日毎日僕らは鉄板の上で焼かれてやになっちゃうよ」という悲哀を感じる内容がどこか現実味を帯びていてユニーク、かつ情緒的に歌われる事によってメロディも耳に残りやすく、世間でちょっと話題になるとみんなそのブームに乗ろうとするために売れたとも言われています。
これだけの大ヒットを受け、1992年にはCD化をされて再リリース。
さらに1999年に「だんご三兄弟」が大ヒットします。同じ食べ物をモチーフにした童謡であったため、「およげたいやきくん」と似たような現象だとテレビで頻繁に扱われました。その結果、その年にまた数万枚売れたようです。
当然、歌だけでなくたい焼きも売り上げが上がったのだとか。東京都港区麻布十番にある和菓子の老舗が歌のモデルになったとされるお店が存在します。
一方のガチャピンは怖い曲を歌っていた
「ひらけ!ポンキッキ」で最初に発売された曲は、ガチャピンが歌う「たべちゃうぞ」という曲でした。
「親の言うことを聞かない子は食べちゃうぞ」と言う内容でしたが、これが「怖すぎる」と言う理由で苦情が殺到。番組では2週間で放送中止になりました。
この曲はその後、シングルとして発売していますが、当然あまり売れませんでした。
「およげたいやきくん」がリリースされたのはこの曲の約半年後です。
一方のたいやきくんは現在でも、番組のアニメーションに登場したキャラクターがぬいぐるみで登場したり、昭和を代表するアニソンとして様々な人に歌われるなどしています。