バンダイが挑んだ携帯ゲーム市場
ワンダースワン(WonderSwan)は、1999年3月4日にバンダイから発売された携帯ゲーム機です。
当時は携帯ゲーム市場においてゲームボーイシリーズで市場を独占していた任天堂に、バンダイが勝負に打って出たのです。
特徴は、当時は携帯ゲームでは珍しかったワイド画面の液晶で、左右にボタンが配置されていました。そのため、縦画面と横画面で遊べるゲームがあったりするなど、ゲームボーイとは違った遊び方も可能です。
価格も安く、単三電池一本で稼働するエコな消費電力も、当時のお小遣い事情に厳しい小学生にも地味にありがたい仕様でした。
FFシリーズが遊べる!が謳い文句
ワンダースワンの1番の魅力は、なんといってもソフトのラインナップです。
携帯ゲーム機としては初のリメイクで決定したファイナルファンタジーシリーズを筆頭に、携帯ゲーム機との相性が良いデジモンなどの自社コンテンツも注力出来た事から、発売前から一部では話題になりました。
FFシリーズは、ワンダースワンカラー発売と同時に「FFI」、のちに「FFII」、「FFIV」が発売されます。
しかしその裏事情としては、FFシリーズを携帯ゲームへの移植をしたかったスクウェアが、任天堂との関係が悪化したために、止むを得ずワンダースワンからの発売を選んだのでした。
実は発売期間は1年半しかなかった
ワンダースワンの最大の弱点は、モノクロ液晶という点でした。というのも、当時は任天堂からゲームボーイカラーというカラー液晶の携帯ゲーム機が既に登場しており、それになれているユーザーからすると「今さらモノクロ液晶なんて・・・」と思うのも無理はないのです。
また、液晶画面の質も決して高くはなく、動きの激しいゲームは残像が残るなど、画面が見辛いという問題がありました。
そしてトドメが、ワンダースワン発売から4ヶ月後に発売された任天堂の新携帯ゲーム機「ゲームボーイアドバンス (GBA)」でした。
ワンダースワン同様のワイド画面液晶を取り入れ、もちろんカラー液晶でゲームボーイカラーより高性能とあって、性能面でワンダースワンの優位はほとんどありませんでした。
そのためか、バンダイはワンダースワン発売から1年半後には「ワンダースワンカラー」を発売します。
FFやデジモンシリーズなどはそれなりに売れましたが、結局GBAの方にほとんど人が流れてしまったせいか、2002年に液晶画面を改良した「ワンダースワンクリスタル」をもってバンダイは携帯ゲーム機市場から撤退したのでした。
